スクラッチテープは多層構造になったセキュリティシールです。金券等、隠蔽したい情報に高度な秘匿性と保護能力を持たせたい場合に使われます。
スクラッチテープの表面は削り取ることのできる柔らかいインクの積層構造で出来ており、コインなどで優しく削ることで隠蔽された情報を見ることが出来るようになっています。
スクラッチテープは、アクリル強粘着剤→基材（プラスチックシート）→剥離ニス→黒インク→銀インク→表面デザインのインク→保護用クリアコート、の多層構造で出来ています。
基材がバリアブル印字の盛り上がりを隠蔽し、剥離ニスが削り取ることを可能に、黒インクと銀インクが隠蔽内容の透けを防止しています。また黒インクには、紙の裏側から隠蔽中のコードを透かして見られてしまうことをある程度抑止する効果もあります。
また、基材のプラスチックシートにはダイカットと呼ばれる切れ込みが入っており、一度貼付したスクラッチテープを剥がそうとすると、小さな破片になってしまい元に戻らないようになっています。（易破壊性と呼びます。）
これは、“リフト”と呼ばれる犯罪手法を防止するための加工です。

“リフト”は、主にPOSAカード（Point Of Service Activation）（店頭で購入・レジ通過後にアクティベートされるプリペイドカード）を狙った不正行為・犯罪行為の一種で、以下のような手口を指します。
① 店頭に陳列されている未使用のPOSAカードを盗む（POSAカードはレジを通すまでは有効化されていないため、そのままでは使えない。）
② スクラッチテープを綺麗に剥がし、「PINコード」を盗み見る。
③ スクラッチテープを綺麗に貼り直した後、盗んだ店の棚に戻す。
④ 店を見張っておき、お客さんがカードを購入したら、すぐに残高を抜く。
このような犯罪行為を防止するために、金券等の高度な情報セキュリティー能力が求められる製品には、一度剥がすと元に戻せない『易破壊性スクラッチテープ』が使用されます。
易破壊性スクラッチテープには、
『細かく破れて再貼付出来ない』
『剥がした痕跡が一目で分かる』
とう性質があり、不正者が情報を盗んでもカードを元のように戻せないため、店頭スタッフや利用者がすぐ異常に気付くようになります。
この対策は、POSAカードだけでなく、金券・商品券・株主優待券・イベントコード等にもご利用頂けます。